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政策提言
 
 
中福祉中負担の国を目指す!

お金をたくさん払えば、高価で良い品が買えます。しかし無理を続けていれば、いつか生活は破綻してしまいます。高価でりっぱな物ばかり求めて見合ったお金を支払わなければ、すぐに借金漬けになってしまうでしょう。本音を言う政治家は実に少ないのですが、今の日本はこうした状況になっています。

「日本はどのような国を目指すのか」ということを国民はこれから真剣に考えていかねばならないでしょう。私は社会保障に関して、中福祉中負担の国を目指すべきだと思います。反して今の日本は、中福祉低負担の国だと言えます。

日本の社会福祉は、高福祉と言われる北欧社会と比べて給付水準は高くありません。一方で全国民をカバーする医療制度を持たないアメリカなどとは異なり、国民皆保険、皆年金、皆介護保険などを実現しています。総合的に我が国は中福祉であると考えられ、この国家スタンスは国民のコンセンサスにまでなっていると私は思います。

しかし、社会保障の現状を見ますと、医師不足や介護人材の不足など国民が不安を抱く課題に直面しています。中福祉のレベルとは言い難い状況も出てきました。こうした問題は改善していかなければなりません。

また、例えば教育に関する政府の支出も諸外国に比べますと、GDP比で見て決して高くはありません。医療費もGDP比で見ますと日本はOECO諸国の中で決して高い方ではありません。改善すべき点は多々あります。何でもカットすれば良いというものではありません。

しかしながら、中福祉に見合う中負担をしていかなければならないと思います。このままでは必ず行き詰まります。

分母を国民所得として、租税と社会保障負担を合わせた国民負担率を見てみますと、日本はアメリカと並んで30%台です。日本は38.9%で、アメリカは34.7%です。しかし、アメリカは典型的な低福祉の国です。例えば皆保険制度はありませんので、国民は病気になると大変な負担を強いられます。

高福祉と言われるEUを見てみますと、イギリスは49.2%、ドイツは52.0%、フランスは62.4%、スウェーデンにいたっては66.2%となっています。

日本はまさに中福祉低負担の国でありますから、やはり中負担までは覚悟しなくてはならないでしょう。

将来世代にツケを回さず、持続可能な社会を作るために、現在の政治家は責任を持って国民の理解を得るよう努める義務があると考えます。
(平成21年6月)

環境立国、環境技術立国へ向かって邁進!

環境問題は多くの国民が真剣にこれを捉えるようになってきました。各種調査を見るまでもなく、私が環境事務次官だった頃から比べても、国民の意識が大きく変わってきたことを様々な場面で実感します。

しかし、環境が良くなっている一方なのかと言えば、決してそうではありません。まだまだ日本は、そして地球は課題を抱えたままなのです。

現在、全世界で見ますと、CO2の人為的排出量の約半分しか自然界は吸収していません。つまり地球温暖化現象を食い止めていくためには、全世界で人為的に排出されるCO2の量を半分以下にする必要があります。全世界は2050年にCO2半減を目指して動き出しています。

日本を美しく豊かな環境先進国にしていくためには、環境を良くすることで経済を発展させる、環境と経済の好循環を図ることが必要不可欠です。環境技術で国際競争力を高め、世界をリードしていくのです。

世界同時不況で、日本の経済の先行きも極めて不透明です。金融危機の後における日本の国家ビジョンを明確にする必要があると私は思います。それがまさに環境立国、環境技術立国であり、こうした国を目指して、官民一体となって進んでいけば、日本の将来は決して悲観すべきものではありません。

太陽光発電、次世代自動車、あるいはエコ家電といった日本の得意な分野をさらに育成して世界最先端の技術に育てていくために、国は重点的に予算を配分していくことが重要でしょう。

輸出依存型経済が破綻した現在、日本の知恵と技術を活かして内需主導型の経済構造に改めていくと同時に、政府が民間と力を合わせて、環境立国、環境技術立国として日本を発展させていくという明確なビジョンを持つことが必要だと思います。その目標に向け、あらゆる施策を総動員して進んでいくべきだと私は考えます。

『環境』は、我が国の将来を決するキーワードなのです。
(平成21年6月)

エネルギー自給率を向上させよ!

高任和夫さんの『燃える氷』という小説を知っていますか?深海に眠るメタンハイドレートというエネルギーを採取、開発して、エネルギー自給率の低い日本を逆に輸出国にしようというフィクションです。メタンハイドレートは国家間の力関係をも変えてしまう魔法の杖として書かれています。

現在、日本のエネルギー自給率は、約4%に過ぎません。これは一次エネルギー供給に占める割合ですが、これに原子力を加えてもわずか19%に過ぎないのです。

言うまでもなくエネルギー自給率の低さは、国の安全保障に大きく関わってきます。各国のエネルギー自給率は、我が国に比べると総じて高くなっています。原子力を国産エネルギーと見ますと、ドイツは39%、フランスは50%、アメリカは71%、イギリスは81%です。いかに日本が低いか、お分かりいただけるでしょう。

水力が主要なエネルギー源であった1960年では、日本のエネルギー自給率は57%もありました。化石資源に依存するようになってから、大きく低下していったのです。

もちろん原子力のさらなる効率化、再生可能エネルギーの拡大は当然進めていく必要がありますが、我が国の百年分の天然ガス消費量に相当すると言われるメタンハイドレートについて、もっと積極的に開発していかなければならないと思います。

メタンハイドレートは、日本では南海トラフ海域と呼ばれる深海域に大量に存在していることが推定されています。生産性と回収率を向上させるための発掘システムなどの検討が大きな課題ですが、政府は本腰を入れなければならないと思います。

エネルギー自給率がこれ程低いと、中東が石油を止めれば日本は滅んでしまいます。これでは真の独立国家とは言えません。エネルギー自給率は、国の安全保障の面から言っても、真剣に考えていかなければならない課題です。

『燃える氷』では失敗してしまいますが、フィクションを超える日本の開発力・技術力は、我が国の将来を大きく変えるかもしれません。
(平成21年6月)

食料自給率向上のための戦略を持て!

日本の伝統的な食べ物である天麩羅そばについて、国産原材料は一体どのくらい使われていると思いますか。

答は何とたったの14%です。そば自体は国産が22%で、6割が中国からの輸入です。

現在日本の食料自給率はカロリーベースで約40%です。つまり食料の60%を外国に依存していることになります。大豆、小麦、トウモロコシなど、主な穀物のほとんどは輸入に頼っているのが実状です。

昨年は世界的な食料危機がテレビ報道や新聞紙上を賑わしました。穀物も高騰して、それが他の多くの食料品に影響を及ぼしたのは記憶に新しいところでしょう。農家も飼料高で大きな打撃を受けました。

何らかの事態で外国からの食料供給が止まってしまうと、日本は大変なことになってしまいます。国が滅びると言っても過言ではありません。

いかなる事態が起こっても、全国民の生存に必要な食料を確保することは国家の責務です。輸入食料が何らかの事情で途絶えた時、生存に必要な1人1日当たり2000キロカロリーの熱量を確保しなければなりません。

そのためには国内の全農地を活用していくべきだと思います。また、熱量の高い作物へと生産転換することが必要だと考えます。

非常時の命綱となる全農地の維持、保全策は絶対に必要です。非常時の農業生産体制をどう確保していくのかを真剣に考えるべき時期に来ています。国の食料安全保障へと向けた戦略を明確に持つ必要があると私は考えます。

食料自給率を高めていく努力を、国民が力を合わせて行っていかなければなりません。今が旬の食べ物を食べる、地元で取れる食材を日々の食事に活かす、ご飯を中心に野菜をたっぷり使ったバランスの良い食事を心掛けるなど、日々出来ることをやることはもちろん必要です。

しかし、もうそれだけでは間に合わないところまで、日本の食料自給事情は悪くなってしまいました。思い切った食料確保の戦略を明確にしていくことを早急に検討していかなければなりません。

食料危機はもうSF映画や小説ではなく、現実なのです。
(平成21年6月)

「ポスドク」処遇改善こそ環境技術立国日本への早道!

「ポスドク」という言葉を知っていますか?これはポストドクターの略で、博士号(ドクター)を取った後、数年の期限付で雇われて大学等で研究している人を指します。日本ではポストドクターの任期が短く限られていることが多く、「高齢ポスドク」など新しい深刻な問題が起こっています。

これからの我が国は環境技術立国を目指していくことが重要ですが、環境分野のみならずIT関連等々、科学技術が今後の我が国の生きる道です。従って専門性を有する人材が、大学や公的研究機関のみならず、産業界や行政機関など社会のあらゆる場で活躍していくことが期待されます。

しかし、ポストドクターと言われる博士号取得者について、現在我が国の社会は十分な活躍の場を与えていないと私は思います。特に最近、彼らに対して短い期限付きの職場がどんどん増えていって、安定した雇用がなくなってきています。例えば「2年契約で更新は2回まで」といったような雇用形態が大学や公的研究機関だけでなく、企業にまで広がっており、彼らは常に次の就職先を探さなければならなりません。腰の据えた研究をしていかなければ、専門性を持った人材は育ちません。

今回の補正予算では科学技術振興のため、2,700億円という巨額の研究予算がつきました。日本学術振興会に基金を設け、1人5年で平均90億円を優秀な研究者30人に配分し、世界最先端の研究を推進しようということになりました。

しかし、お金がつくだけでは研究者は育ちません。研究の現状に見合った環境とシステムがうまく機能していかなければならないことは言うまでもありません。定員をあまりにも削減して、常用雇用を厳しくし、臨時雇いばかり多くなっている世の中の流れを、私は変える必要があると考えます。特に今の30代、40代の若手中堅の研究者を、日本はもっと活かしていくということが大事だと思います。このままではいくらお金をつけても、良い方向には向かっていかないでしょう。生活のため、研究者が目先の成果ばかり追っていてはいけないのです。

これだけ多くのポストドクターを抱えている日本は、人材の使い方が下手だということが言えるでしょう。この改善は是非とも目指していきたいと考えます。

また文部科学省や総合科学技術会議事務局などにいる人たちは、本当の意味での研究の現場を知りません。もっとポストドクターの人を雇って、中途採用を多くし、現場の人たちの感覚を活かした施策を打ち立てていくことが大切だと考えます。
きっと「ポスドク環境整備」は、環境技術立国日本の実現をも左右するでしょう。
(平成21年6月)

税による所得再配分機能の回復を!

税金には「社会に参加するための経費」を皆で負担するという意味があります。そして、その負担は公平な社会を作るため「担税力」に応じたものとする必要があります。

近年、所得税について、勤労意欲、事業意欲が損なわれないように、また主要先進国の動向をも踏まえた上で、税率構造をフラット化してきました。また一方、相続税について、バブル期に地価が異常に高騰したこと等を考慮して、基礎控除額を引き上げて税率を引き下げてきました。

その結果、所得税の累進構造緩和、相続税の軽減等が進み、税による所得・資産の再分配機能が低下してしまいました。

例えば、給与収入が3,000万円の夫婦子2人の高額給与所得税者の個人所得課税(所得税と個人住民税)の実効税率は、昭和61年分では45.0%でした。平成6年分で39.9%、平成10年分で33.7%、そして現行では30.6%と大幅に低下しています。この水準は諸外国と比較しても低くなっています。

今後は、中長期的には消費税の税率を引き上げざるを得ないと考えますが、逆進的な消費税の役割が高まる中で、税による所得再分配機能を回復するには、まず所得課税について税率構造(税率、ブラケット)のあり方を再検討する必要があると考えます。

相続税に関しても是正は必要です。現在の相続税制の下では、100人亡くなったとしたら、相続税を払う人は5人しかいません。これだけ少ないと税による再分配効果もあまり期待できません。せめて倍の10人くらいは、相続税を払う必要があるのではないでしょうか。

私は、都市部で農業を営む人や中小企業を承継していく人について政策的に配慮することは絶対必要であると考えていますが、一般的に言って、親から子どもに資産が相続されることで、機会の平等が大きく妨げられるのは社会的公平に合わないと思います。

さて、税による所得再分配機能の回復を考えていくうえで、私は株式譲渡益課税についても、ぜひ再検討すべきであると提案します。

株式譲渡益は、平成元年度に総合課税の部分はなくなり、申告分離課税と源泉分離課税の選択制となりました。さらに、平成11年度に申告分離課税への一本化が図られました。その後も、一般投資家が手軽に投資することを可能にする制度へと見直しが行われてきました。こうした税制改革がバブル崩壊後の証券市場を支える大きな役割を果たしてきたことは事実であると思います。

しかし、インターネット投資家が瞬時にして何億円、何十億円と儲けても、10%の分離課税で済むという現状は、公平性の観点から、私は見過ごすことができないと考えています。特に最近では、買占めの対象となった株式の値上がりで一瞬にして大きな儲けを得た個人投資家や、村上ファンドへの拠出で多額の収益を手にした人達の課税額があまりにも少ないことが問題視されました。

我々は、時代の変化を考察しながら、常に公平であること、さらには所得再分配機能が適切に発揮されることを目指して、税制のあるべき姿を追求していかなければならないと思います。
(平成21年6月)


中川まさはるの政策提言
■成長期から安定期、そして停滞期へ、しかし衰退期に入らないように!
■日本の生きる道は「環境と経済の統合」
■財政の健全化は将来世代のためだけでなく、現世代にとっても喫緊の課題
■景気対策のために一時的に歳出を拡大し、恒常的な支出は抑えるのが当たり前
■日本の伝統・文化、日本人の心、家族の絆を大切にする政治を!
■教育こそ国を救う、
日本の再生は教育の再生から!
■中福祉中負担の国を目指す!
■環境立国、環境技術立国へ向かって邁進!
■エネルギー自給率を向上させよ!
■食料自給率向上のための戦略を持て!
■「ポスドク」処遇改善こそ環境技術立国日本への早道!
■税による所得再配分機能の回復を!
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